畑仕事

出荷日の一日

畑から食卓へ届くまでの間には、いくつもの工程がありそれは大変な労力がかかります。むかし野菜の邑では毎週、月・水・金曜日に出荷作業を行なっており、その日の一日は朝から怒涛の忙しさとなります。

 

白菜・小松菜・人参・じゃがいも・大根・紫大根・紅芯大根・セロリ・九条ネギ・サラダセット・レタス・ブロッコリー・椎茸・サラダかぶ・菜の花・漬物・わかめ・ほうれん草。この種類の野菜をそれぞれ必要な数に作り分け、個別にダンボールへと梱包されていきます。箱を開けた瞬間に、「わ!」と喜んでもらえるよう、土を落とし、傷んだ葉っぱを取り除いて、キレイに洗っては水気を切って個別に袋詰めをしています。

出荷日の朝は忙しい。続々と畑から集まってくる野菜たち。

例えば人参。草木堆肥しか使わない自然循環農法の野菜ですので、実に不揃いで、どれも2本づつといった具合に簡単には振り分けられません。均等にどなたにも平等に振り分けるには、相応のバランス感覚が必要になります。また、一週間ごとに畑の状況はめまぐるしく移り変わっていきますので、収穫するのにも優先順位が常に移り変わります。畑の状況・野菜の状態・お客様の要望を踏まえながら、その時の状況に応じた臨機応変な対応が求められ、いつも頭を悩ませています。

袋詰めは単純ではない。観察力とバランス感覚が求められる。これがまた難しい。

収穫・掃除・水洗い・袋詰めがひと段落し、昼食の時間になるのは決まって13時を過ぎる事に。ホッと一息するのもつかの間、誰もが次の仕事に急いで取り掛かります。まだまだ仕事は残っています。定期購入のお客様は、お気づきかもしれませんがむかし野菜の邑では、ダンボール箱や包装に極力コストを掛けず、お客様の負担にならないようにと努めています。あちこちからかき集めたダンボールを再利用して頑張っています。

15時過ぎ、箱詰めの準備が整い始める。

箱いっぱいのむかし野菜。たくさんの食卓を明るくしてほしい。

 

これから、半日から一日を掛けて全国を巡ってゆくむかし野菜。それぞれの食卓の数だけ家族の健康と笑顔を願う私たちの気持ちと一緒に、今日も「美味しい」の一言を届けています。

次回は、生産者、消費者のコミュニケーションについて考えてみたいと思います。
では、また次の金曜日に。

春と端境期

「苗半作」という言葉があります。
丈夫で良い苗を作れば、もう仕事は半分できたものと同じという意味です。
それだけに育苗には大変な時間と労力が必要です。

今、ピーマン・トマト・なす・胡瓜などの夏野菜の苗作りが急ピッチで進んでいます。
みなさんに美味しい露地栽培のむかし野菜をお届けするために、一番大切な仕事です。

丈夫で元気な苗を作ることができれば、あとは大丈夫。ただし、それがどれだけ難しいことか…

 

今週は、天気が良く晴れたものの、風が強く冷たい風が吹きました。
寒の戻りというやつでしょうか。この晴れ間をチャンスと、滞っていた堆肥作り、庄内の麦踏みなどバタバタと畑仕事を終わらせていきました。ごぼうのタネを蒔き、ジャガイモを植える。空いた畑へ堆肥を入れて次の作付けの準備をする。ブロッコリーの草を取り、土を寄せる。雨つづきで出来なかった仕事が今週は捗りました。

収穫を終えた菜の花。トラクターで漉き込み、堆肥とともに微生物の餌として畑を肥沃に変えてくれる。

 

季節は進む

季節が進み、足早に春がやってきています。路地には小さな花がたくさん咲き、ウグイスの鳴声を聞きました。「あぁ、春ですね。ちょっと一休み。」とはいかないのが畑仕事。畑に春がやってくる、それはつまり、ほどんどの野菜に花が咲き、出荷できる状態ではなくなるということ。

「トウ立ち」と言い、植物として自然な生理現象です。子孫を残すためにエネルギーの流れを葉や茎から、花とタネへシフトさせていきます。
風に煽られても簡単に倒れてしまわないように硬い筋で身を守り、蓄えた養分を花とタネへ回します。もっとも、草木堆肥・低チッ素での栽培であれば硬くなりにくいのが、むかし野菜の特徴でもあります。

大根・ネギ・レタス・人参・カブ・水菜・青梗菜・小松菜・白菜・キャベツ。
冬を越えて春を迎えるほとんどの野菜は「トウ立ち」する仕組みになっています。気温や日照時間の変化を敏感に感じ取っていて、一分の狂いもなく花を咲かせる野菜たちを見て、何万年もかけて作り上げられた自然のサイクルに思いを馳せます。

青梗菜も上に上に伸びようとしている。

サラダ小松菜の蕾。これも菜の花として食べられる。

水菜も「アブラナ科」例外なく花が咲く。

赤い大根「もみじスティック」もこの状態。

聖護院大根はごらんのとおり。

 

端境期

こうやって春を迎えた野菜たちが一斉に花となって商品がなくなっていきます。これから夏野菜を収穫することができるまでポッカリと空白期間が出来てしまいます。これを「端境期-はざかいき」といい、むかし野菜の邑ではあの手この手で工夫を凝らし端境期を作らないように努力を重ねています。

毎週の野菜を楽しみにしてくださるお客様が目の前に居る。決して野菜を途切れさせるわけにはいきません。
種まきのタイミングを調整する。作付けの量を増やす。年間100以上の野菜を回転させる。加工品や海産物で商品のバリエーションを確保する。

まだまだやれることはあると思いますが、自然の力には抗うことはできません。最善を尽くし、精一杯できることをやっていきます。

次回は、野菜が出荷されるまで。出荷日の一日をお伝えしたいと思います。
では、また次の金曜日に。

「自然野菜は高い」のうそ。

二十四節季 啓蟄「巣籠り虫戸をひらく」
冬の間地中に隠れていた虫が、戸を開いて外に出始めるころですが、今週は雨続きで虫も私たちも外へ出ていくことをためらっている感じです。

毎週水曜日に開かれるむかし野菜の直売所。雨の中傘をさして買いに来てくれる熱心なお客様も増えて来た。

むかし野菜の邑では、土作りの進行具合に合わせて「赤ラベル」「銀ラベル」「金ラベル」と3段階の基準を設け、価格の判断基準にしています。
例えば、じゃがいも。
「赤ラベル」500g 140円
「銀ラベル」500g 160円
「金ラベル」500g 180円
といった具合に、草木堆肥を施し続けてミネラルと土壌中の微生物群の健全な環境が出来上がるにつれ、やはり味と品質に価格を転化していくことで区別をしています。

ここで、一般的な有機栽培の野菜との違いを、コスト(労働力と時間)の面から比較して見たいと思います。

むかし野菜と有機栽培の比較

堆肥を原料から責任を持って作ることから始まり、最低でも3年の時間をかけて本当に美味しい味になるまでどれだけの労力がかかるでしょうか。それを押し付ける気はもちろんありませんが、知っていてもらいたいと同時に自信を持って価格に転化させていただきたいと思います。

1本140円の大根は高いのか

絶対的な価格で捉えると、100円と140円、同じ大根でも明白ですが、ここで何を基準にその価格を「高い」「安い」と捉えるのかを今一度考えてもらいたいと思います。野菜の本当の価値はどこにありますか?体のために、肉や魚では補いきれない栄養素をバランスよく摂ることができて、美味しく食べ続けられること。これこそが農産物の本当の価値であるはずです。真面目に質の高い農産物を生産して、その価値を高めていこうとする農業者の努力と苦労がいつまでも報われないマーケットの仕組みが、後継者不足と地域の疲弊を後押ししていることは間違いありません。

値段が高いから美味しいのではありません。

圧倒的に美味しいから相応の値段を提示しているのです。

毎週水曜日の農園直売も3ヶ月目になり、むかし野菜の味と香りの違いに気づいてくれた何人かのお客様は、毎週野菜と加工品をお買い求めにいらっしゃるようになりました。やはり直接お客様の声を聞くことができて、努力の結果が「ありがとう。美味しかったです!」の一言に詰まっています。

一人でも多くの方に、むかし野菜の価値をしっかりと伝えること。一人でも多くの方に食べてもらい、その違いに気づいてもらうこと。一人でも多くの方に、健康で明るい人生を送ってもらうことをこれからも地道に続けていきます。

次回は、春の訪れ「トウ立ち」についてお話ししたいと思います。
では、また次の金曜日に。