理念

4/21.4/28農園体験会を開催しました。

よく晴れた4月のおわりに、2週に渡って農園体験会を開催しました。
参加いただいた人数は、21日が100名(うち子ども50名)、28日が120名(うち子ども60名)と沢山の方がむかし野菜の邑へ訪れてくれました。

むかし野菜の邑を支えてくださっているお客様は、ほとんどが関東と、福岡に集中していて、地元大分での認知と普及がこれからの大きな課題です。
地元大分で食や健康、地域社会の農業のあり方に、少しでも興味のある方へ私達の活動の一端を伝えるべく、農園体験会を開催する運びとなりました。

ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。


堆肥つくり

むかし野菜の根幹である「草木堆肥」を作る工程を体験しました。

  • 草と木を主原料にする理由とは
  • 野菜を美味しくする「土」のちからとは
  • 堆肥の中で活動する無数の微生物のはたらきとは

堆肥つくりは、最も大切な仕事です。これがなければ、むかし野菜はむかし野菜ではなくなります。味と、香り。歯切れの良い食感。それを生む「土」を作るためのミネラルや微生物の働きの話を交えながら、実際に草を広げ、牛糞と、チップを上に広げてもらいました。
堆肥つくりの過去の記事はこちらhttp://mukashi-yasai.moon.bindcloud.jp/wlwp1/2019/02/01/

種まき

サラダセット・小松菜・青梗菜のタネを蒔いて、水やりまでを体験しました。夏野菜と春野菜の同居するこの時期特有である、夏野菜の合間をぬって、畑のスペースを最大有効活用する「むかし野菜流タネまき」を行いました。

  • まきすぎ、少なすぎに注意
  • 土のかけかた
  • 水のやりかた

簡単そうなタネのまき方も、そのひとつひとつの丁寧さで、最終的な出来栄えに大きく影響します。また、あの小さなタネの一粒が成長して、美味しい野菜になる。そんな生命の神秘も少し感じられたと思います。

おやつ作り

自家製小麦のスコーンとビーツのジャム・自家製きなこで食べるやせうま。団子を上手にのばして、沸騰したお湯に入れ茹でる作業を体験しました。自家製きなこは前日に焙煎して、風味と大豆の味をしっかり感じてもらいえるようにと、準備を整えました。昨年収穫した分の小麦粉は野菜饅頭などで好評だったため、すでに在庫がありませんが、6月の中頃には今年の収穫ができます。今年はいまのところとても順調に生育していて期待が持てそうです。

収穫体験

実際に畑では、どのように野菜ができているのか?草木堆肥のみで育った多様性に富む土を踏みしめながら全身で感じてもらいました。

  • 人参
  • 大根
  • 玉ねぎ
  • ブロッコリー
  • 青梗菜
  • スナップエンドウ

農園ランチ

待ちに待った農園ランチ。一日を通じて体感してもらった「土作り、タネまき、収穫」を農園ランチで締めくくり、最後は食べて感じてもらいました。すべてのメニューのほとんどを農園の野菜で作るランチメニューは10種類以上。麦ごはんのおにぎりにはじまり、スープ、漬物各種、コロッケ、ピザ、わけぎのヌタ、コールスロー、ちしゃもみ、ビーツの茎で作るキンピラ、ビーツのサラダ、ビーツの酢漬けなどなど。

子どもも大人もみんな口いっぱいに頬張ってむかし野菜の味を楽しんでいただきました。

 

関東・福岡中心のお客様の数をこれからは、地元である大分へもっと浸透させたい。また、健全な土作りから健康な野菜、地域社会の発展と明るい家庭への架け橋ととなるように。そして一人二人とお客様の輪が広がっていくように、むかし野菜の活動はこれからも続きます。

生産者・消費者間のコミュニケーションについて考えてみる

農業者がただ農業者で良い時代はもう終わりました。

いいものを作るのは当然のことで、いかにその情報を正しく消費者へ届けることができるか。これからはマーケティングとコミュニケーションのスキルを身につけて戦っていかなければ大きな時代のうねりに飲み込まれてしまう。そんな不安定な大きな変化の時代に突入しました。

私達生産者は、ついついこちら側の「伝えたいこと」を、消費者が「知りたいこと」であると思いこみ、全力で商品説明をしてみたり、理念や考え方をぐいぐい伝えてしまうなど、コミュニケーションの罠に陥りがちです。とはいえ、頭では理解していても、簡単にはその罠から抜け出せないのが悩ましいところ。

毎週水曜日の直売では、常連のお客さんがつくようになってきた。毎週楽しみにしてくれている上に、直接会話できることがとてもうれしい。

伝えたいことは本当に山のようにあります。

草木堆肥・土作り・露地栽培・低窒素栽培など生産に関わる「労力」のこと。味・香り・歯切れが特徴のむかし野菜は、有機野菜とは全くの別物で、むかし食べたあの懐かしい「味」のこと。地域の活性化・自然循環農法の普及・むかしの健康だった「食文化の復活」のこと。あと10個ほどありますが、さてどうでしょう。いきなりこのようにガツガツと自己アピールを行い「私はこんな人間で、こんなに毎日頑張っていて、こんなにいいものを作っているんです。どうですか、すごいですよね。あの人とは違います。だから私と仲良くなりませんか?」と自己紹介をされたとしたら、まず間違いなく「仲良くなれそうにない」と感じるはずです。

大事なのは、相手が「何を知りたい」と思っているのか。

例えば、「何に悩んでいるのか」とか「毎日の生活の中で感じる不満はなにか」や「不備・不足・不満・不安」などの潜在的なニーズを知ることで、ひとりひとりに寄り添った答えを正しく提案すること。それこそがあるべきコミュニケーションのカタチではないでしょうか。

「子どもが、なかなか野菜を食べてくれない」という悩みがあれば、

「子どもの野菜嫌いの原因の大半が、いつまでも口の中に残る繊維」であること。「低チッ素の土壌で育つむかし野菜なら、スジがなく歯切れが良いので繊維が残らない」こと。「子どもの舌は本当に正直で、味・香りを本能で嗅ぎ分ける」ことをなど伝えることができます。

つまり、いつもスタート地点はマーケットであり、消費者であり、一人ひとりのお客様であるということ。

まずは、消費者との対話の中で「悩み」や「不満」といった欲求を探り当てることがコミュニケーションのなかで最も大切なポイントです。同時に最も難しいポイントでもあります。だからこそ、そこに今後の商品開発やサービス向上のヒントが隠されています。お客さまへのインタビューを行ったのも、進行中の商品開発の方向性と、新たなニーズを探るためでした。

4/21㈰ と 4/28㈰ むかし野菜の邑 農園体験会 を開催します。

体験型のレジャーへのニーズは高まっている。そのなかでも農園で遊んで、学べるというのは「食」に関心のある子育て世帯にはぴったりではないだろうか。

 

 

生産者が、ただ、野菜をつくっていればよかった時代はもう終わりました。ただただ愚直に消費者と向き合いマーケットで戦って行かなければなりません。資本力のある企業が農業のフィールドへ参入してきました。「価格と量」という競争力を武器にする彼らに対抗するには、「圧倒的な品質」と「細やかなサービス」「アイデアと機動力」による付加価値で、消費者を味方につける戦略をとるほかないと感じます。

簡単であはありませんが、やるだけの価値はあるはずです。
そのための「むかし野菜の邑」です。

関わる人すべてが幸せになって、明日や未来への不安がなくなるような明るい地域、農業の活性化を目指します。

 

次回は、農園体験会についてのお知らせと、目的などお話ししたいと思います。
では、また次の金曜日に。

 

 

これからの農業経営のあり方を考える

むかし野菜を生産する上でもっとも大きなネックが、多くの労力と時間的コストとリスクが伴うことです。
自然に順な栽培方法、自然循環農法によって得られる、味と香り、栄養価と引き換えに、除草剤を使わない事によるリスクと膨大な手間を必要とします。

この問題を解決するために、むかし野菜の邑では、かつての農村でのしきたりとして機能していた「結いの仕組み」という考えを下地に運営と活動のあり方を緩やかなルールとして採用しています。

庄内にある穀類畑。大豆とむぎを生産している。共同作業でなければ消費者が求める高い品質は維持できない。

かつて、日本の農村にはどこにでもあった結の仕組み。
共同で田植えをし、稲の刈り取りを行う。部落には長老達が居て、皆の纏めを行ってきました。
現在では、トラクターやコンバインなどの機械化が進み、各農家ごとに機会を保有し始め、共同での作業を行わなくなっゆきました。除草剤・農薬・化学肥料によって、農業の近代化・機械化・効率化・省力化が進み、徐々に結いの仕組みは消えてくことになります。(協働という考えが必要ではなくなり、繋がりが薄れていった。)
同時に、労力のかかる雑穀生産や野菜作りなどの畑作は、見られなくなりました。 
 
有機野菜や自然栽培を中心にした高集約型(手作業の多い畑作)農業は前述の通り、労力の塊です。
また、孤立する個々の農業では、これからの時代巨大流通(農協や大型スーパー)に対抗することは困難です。
自然循環農業と多種多様な農業を未来へと繋いでいくため、グループ化が必要であるとの結論に至り、現在版の「結いの仕組み」作りに着手しました。
グループメンバーの畑であれば、何かあれば駆けつけることができるし全員で一気に仕事を終わらせることもできます。

研修生も含め、全員での堆肥振り。一人ではいつまでも終わりが見えない。

植え込みや種まきも短時間で済ませて、また次の畑へ向かう。誰が管理する畑でも同じこと。

「結いの仕組み」 3つのメリット。
  1. 機械や器具、種苗費を共同で利用するので、経費を抑えることができる。
  2. 必要な労働力を、必要な時に集中させて短時間で大きな効果を上げることができる。
  3. 研修生を受け入れ、担い手として教育したのちの独立支援としての受け入れができる。

人、一人でできることには限界があり、高が知れています。
どんなに強靭な肉体があっても、3時間の作業を30分にすることはできません。
どんなに優れた頭脳と知識があっても、2つの仕事を同時にこなすことはできません。
どんな孤独にも耐えることができる精神力も、仲間の存在によって得られるモチベーションの比較にならないほど差があります。

この邑に集う個々の農園と、一人一人のメンバーが力を合わせて、補い合い、高め合い、笑い合いながらこれからの時代の新しい農業経営のスタイルとして確率させていきたいと思っています。

次回は、自然循環農法で作る「麦」についてお話ししたいと思います。では、また次の金曜日に。