「苗半作」という言葉があります。
丈夫で良い苗を作れば、もう仕事は半分できたものと同じという意味です。
それだけに育苗には大変な時間と労力が必要です。

今、ピーマン・トマト・なす・胡瓜などの夏野菜の苗作りが急ピッチで進んでいます。
みなさんに美味しい露地栽培のむかし野菜をお届けするために、一番大切な仕事です。

丈夫で元気な苗を作ることができれば、あとは大丈夫。ただし、それがどれだけ難しいことか…

 

今週は、天気が良く晴れたものの、風が強く冷たい風が吹きました。
寒の戻りというやつでしょうか。この晴れ間をチャンスと、滞っていた堆肥作り、庄内の麦踏みなどバタバタと畑仕事を終わらせていきました。ごぼうのタネを蒔き、ジャガイモを植える。空いた畑へ堆肥を入れて次の作付けの準備をする。ブロッコリーの草を取り、土を寄せる。雨つづきで出来なかった仕事が今週は捗りました。

収穫を終えた菜の花。トラクターで漉き込み、堆肥とともに微生物の餌として畑を肥沃に変えてくれる。

 

季節は進む

季節が進み、足早に春がやってきています。路地には小さな花がたくさん咲き、ウグイスの鳴声を聞きました。「あぁ、春ですね。ちょっと一休み。」とはいかないのが畑仕事。畑に春がやってくる、それはつまり、ほどんどの野菜に花が咲き、出荷できる状態ではなくなるということ。

「トウ立ち」と言い、植物として自然な生理現象です。子孫を残すためにエネルギーの流れを葉や茎から、花とタネへシフトさせていきます。
風に煽られても簡単に倒れてしまわないように硬い筋で身を守り、蓄えた養分を花とタネへ回します。もっとも、草木堆肥・低チッ素での栽培であれば硬くなりにくいのが、むかし野菜の特徴でもあります。

大根・ネギ・レタス・人参・カブ・水菜・青梗菜・小松菜・白菜・キャベツ。
冬を越えて春を迎えるほとんどの野菜は「トウ立ち」する仕組みになっています。気温や日照時間の変化を敏感に感じ取っていて、一分の狂いもなく花を咲かせる野菜たちを見て、何万年もかけて作り上げられた自然のサイクルに思いを馳せます。

青梗菜も上に上に伸びようとしている。

サラダ小松菜の蕾。これも菜の花として食べられる。

水菜も「アブラナ科」例外なく花が咲く。

赤い大根「もみじスティック」もこの状態。

聖護院大根はごらんのとおり。

 

端境期

こうやって春を迎えた野菜たちが一斉に花となって商品がなくなっていきます。これから夏野菜を収穫することができるまでポッカリと空白期間が出来てしまいます。これを「端境期-はざかいき」といい、むかし野菜の邑ではあの手この手で工夫を凝らし端境期を作らないように努力を重ねています。

毎週の野菜を楽しみにしてくださるお客様が目の前に居る。決して野菜を途切れさせるわけにはいきません。
種まきのタイミングを調整する。作付けの量を増やす。年間100以上の野菜を回転させる。加工品や海産物で商品のバリエーションを確保する。

まだまだやれることはあると思いますが、自然の力には抗うことはできません。最善を尽くし、精一杯できることをやっていきます。

次回は、野菜が出荷されるまで。出荷日の一日をお伝えしたいと思います。
では、また次の金曜日に。